クリスマスの日

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家に帰り、机を見ると姉から白い便箋と 煌びやかな包装紙に目が止まった。 「弟よ、寂しいクリスマスに幸あれ」 社会人の姉はクリスマスにプレゼントを買ってきてくれる。 僕は包装紙を解き、中にある箱を開けてみると欲しかった白いラインの入った革の財布が入っていた。 「これ、欲しかったのよくわかったな」 お礼を言おうと姉を探したが、家にはいない。 「お姉ちゃん?今日は女子会だから帰りが遅くなるって」 台所で夕飯の支度をしている母親が濡れた手をタオルに拭きながら答える。 仕方ないので僕はバイトして買ったプレゼントを姉の机に置く。 何年か前に僕が「クリスマスは寂しいな」とぽつりと呟いたのを姉が聞いていてプレゼントを買ってきてくれた。 それを皮切りにお互いにプレゼントを贈り合うようになった。 普段は僕の私生活に厳しく注意する屈強な姉だ。 喧嘩になるのも日常茶飯事だ。 しかしたまにホロっとした優しい1面も見せる。
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