ひとりごと(1)

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コアなゲーマーたちの間で囁かれる噂話。 「ひとりごと」と呼ばれる、「伝説のゲームソフト」。 それはディスク状で、どんなハードに挿入しても動作するらしい。 そして、そのゲームは冥界へ繋がっていて、一度起動したら最後、廃人になるか、最悪の場合「あちら側」へ引きずり込まれてしまうらしい……。 「なんて、噂なんだよ」 昼休み、友達と一緒に弁当を食べていると、そいつが突然に切り出した。 「お前ん家って、古いゲームとかいっぱいあったよな?「ひとりごと」……あるんじゃねぇ?」 「いや、そんな名前のソフト聞いたこともねぇよ」 何を馬鹿な、と思った。確かに俺の父親はレトロゲームマニアで、家にはフ〇ミコンやらセ〇サターンやらのソフトだとかハードだとかが大量にある。 しかし、父親の口からも「ひとりごと」なんて名前のソフトの話は聞いたことがなかったし、自分自身も一切知らない。さすがにありえないだろ……馬鹿かこいつ。 「まぁまぁ、ダメ元で探してみようぜ?最悪、面白そうなレトロゲーが見つかれば儲けものってことでさ」 _____________________________________________ 結局押し切られて、家にまで連れてきてしまった。 俺に無理な提案をしてきやがったこいつ_____大雅は俺の幼馴染みであるため、家に上げることには俺も両親もなんの抵抗もないのだが。 「早速探しに行こうぜ」 「はいはい……」 誰が片付けるかも考えないで、陽気なやつだ……。 まぁ、どうせ見つからないだろうし、多少散らかるくらいなら構わない。 やたらテンションの高い大雅を追って、ゲームが大量に置いてある2階の部屋に向かった。
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