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「しっかし……やっぱ散らかってんなぁ」
その部屋の扉を開けた途端に、大雅はそう声を上げた。父の積みゲーがしまわれて……というより押し込まれている部屋だ。
「「ひとりごと」って確か……ディスク状なんだっけ」
首肯する大雅。本当にそんなものがあると思っている訳では無いが、ここまで招き入れてしまった手前、探すのを手伝わないわけには行かないだろう。
この部屋にはありとあらゆるゲームが乱雑に置かれているが、ハードごとに分類しようとした形跡はある。おそらく父が片付けようとして、途中でなにかしらのゲームを手に取ってそのまま遊んでしまった名残だろう。
「んー?なんだこれ」
大雅が困った顔で手招きした。なにか見つけたらしい。
「このディスクなんだけど……真っ白で何も書いてない」
「こんなゲームソフト、見たことないな……ダビング用のCD-ROMじゃないのか?」
「わかんね、そうかも」
父がこの部屋にCDを置いているという話は聞いてないが、大雑把な彼のことだ。何かの拍子に置き忘れたということがあっても不思議じゃない。
「もしかしたら、これが「ひとりごと」だったりしてな」
「まさか。何の変哲もないCD-ROMにしか見えねーだろ」
俺はまだ、あの噂話を信じていなかった。だから大雅がこのディスクを家に持ち帰ると言った時も特に反対はせず、あとで父さんに伝えておくよとだけ言って許してしまったのだ。
まさかあの後、あんな恐ろしいことになるなんて_______________あの時の俺は、想像すらしていなかった。
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