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大雅を見送ってすぐ、俺は家のパソコンを立ち上げた。念の為、「ひとりごと」について調べてみようと思ったのだ。
「ひとりごと 都市伝説 ……っと」
確かに、いくつか大雅が言っていたような内容はWeb上に散見された。しかしそのどれもが胡散臭いオカルトサイトのもので、俺はやはり「ひとりごと」なんてただの都市伝説だろうという結論に至った。
「はぁ……こんなもんか。父さんが帰ってくるまでゲームでもするかな」
時計は17:30を指していた。父が帰宅し、夕飯の卓に着くのは19:00頃であるから、まだ1時間ほど余裕がある。俺は自室に戻ると、最近毎日プレイしているゲームに手をかけた。
「PlayplaceVR」通称PPVR。いわゆる「バーチャルリアリティ」を体験できる最新型のゲームハードだ。専用のヘッドセットを装着することにより、視覚をPCと完全に共有することが出来るということもあり、発売初週から大ヒットを記録していた。
このヘッドセットを装着すれば、現実世界からはある意味引き離された経験を得ることが出来る。そこまで考えて、「ひとりごと」の噂がふいに頭をよぎった。
_________廃人になるか、最悪、「あちら側」へ連れていかれるらしい_______
「……はは、まさかな」
いつものように電源ボタンに手をかける。違和感はなかった。しかし、その噂が俺の頭から離れることもなかった……。
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