いちごミルクの印

2/10
前へ
/28ページ
次へ
 誰が言い始めたのだろうか。高校二年の伊豆原真人(いずはら まさと)は、気付いた時には周囲から王子と呼ばれていた。  容姿が整っていて、勉強が出来て、運動が出来れば、それで良いのだろうか。望んだわけではないのに、どこに行っても付いてくる人の視線。彼は、そんな日常に嫌気がさしていた。 「王子、バスケ頑張ってね」 「ありがとう」  一日の授業が全て終わり、教室を出たところで伊豆原は別のクラスの女子に捕まった。それが二人、三人と増えて行く。  女子も男子も先生も、皆、どうして自分に媚を売ろうとするのか。何か得することでもあるのだろうか。伊豆原が、そう思った時だった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加