いちごミルクの墓

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◆ ◆ ◆ 「ちょっといいかな? ここら辺で安達を見なかった? 安達ハル」  伊豆原が校庭の端で休憩している男子サッカー部員の一人に声を掛けた。 「安達?」 「ほら、右目に眼帯してて、右腕に包帯もしてる」  伊豆原は周りの生徒に尋ねながら、安達の後を追っていた。唯一、彼が救われたのは安達の特徴が特殊だったことだ。 「ああ、中二病拗らせてるやつね。さっき、そこの花壇で何かやってたけど。なんか、やっぱり、あいつ気味悪いよね」 「……」  何の言葉も返さず、安達の手掛かりを探して伊豆原は花壇を見た。花は無残にも掘り起こされていた。代わりに何かが埋められているようで土が盛り上がっている。そして、花の名前が書かれていた木の板には黒の油性マジックで「いちごミルクの墓」と書いてあった。  まさかと思い、伊豆原が土を掘り起こしてみると、そこには未開封のいちごミルクが埋められていた。 『俺は一日一回、これを飲まないと死んでしまうんだよ』  伊豆原の脳裏を安達の言葉が過った。 「ハル……!」  慌てて伊豆原は駆け出した。何処に向かったのか見当もつかないまま、また周囲の生徒に聞きながら、彼が辿り着いた場所があった。
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