いちごミルクの墓

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 本来ならば鍵が掛かっていて開くはずのない扉、そこは力任せに壊されており、勝手に解放されていた。学校の屋上である。 「ハル!」  伊豆原が着いた時、安達は屋上のフェンスを登ろうとしていた。 「駄目だ! ハル!」  急いで伊豆原が彼の身体を掴んで止めるが、土で汚れた両手はまだフェンスにしがみ付いている。 「フフフ、この子は私のモノ」  目の前で不気味な笑みを浮かべる人間は安達であり安達ではなかった。だが、伊豆原にはハルとしての安達しか考えられなかった。ただ、彼を救うことだけを考えていた。 「駄目だ! ハルは俺のだ! 誰だか知らないけど、出て行ってもらう!」 「邪魔をするな!」 「っ……!」  安達の両手をフェンスから引き離そうとしたが、その手は伊豆原の頬を強く殴った。
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