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「もうちょっと、温まっておけ」とあなたは、私を残して起きる。
しばらくして、香ばしいパンの匂いと一緒にコーヒーの香り。
インスタントだけど、不思議。
あなたがいれると、喫茶のコーヒーの様な気がする。
これも好きな人が、入れてくれるからかな?
「ほれ、飲め。」とマグカップを机に置いた。
机の上は参考書とドリルに、教科書とノート。
私は高校に、行ってない。
「私、バカだから・・」というと、彼は言った。
「バカだと言って、逃げるのはいつでも出来る。でも頑張りもしないで、
自分をバカだという奴が、本当にバカじゃないのか?」
はっとした。見透かされてる、バカだと言って私は勉強から逃げた。
家庭の事情で、働くことを選んだけどトライしたわけじゃない。
「お前は、バカじゃない。」
その言葉が私に、勇気をくれた。
そして高卒認定試験を3科目受けて合格、いくら得意分野でも
2・3か月でだ。
そしてまた、2年目には8科目の合格に向けて猛勉強中。
「ほら、少し休め。」
彼は私がムキになり、お昼も休憩もなしで集中するのを
知っている。
机の上には、入れたてのコーヒー。
いい香り。あれ、和菓子もついてる。
「甘いものは、脳にいいんだ。お前、好きだろ」
用意したのは、みたらし団子。
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