幸せのかたち

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幸せのかたち

 ねぇ、あなたは気付いてた? 初めて会った日の事を。 あの時からあなたが好きだった、私の気持ちを。  私はまだ中学。 気付いたら勝手に上がり込んで、毎日の様に私を(いじ)ったね。 私は暗くて下を見たまま、固まって。 だから笑わそうとツンツン触れて鼻をつまんだり、それどころか スカートをめくろうとしたり。 その度に母が、もの凄い顔で(にら)んでた。 アハハ! でもあなたの笑い声で、一緒に笑える自分に気付いた。 弄られても、あなたが来るのが楽しかった。 自然と好きになってた・・。  だから来なくなった時、どれだけ(さび)しかったか分かる? 道ですれ違っても言葉は出ない。 「久しぶり!元気にしてた?」 せっかく声をかけられても、会話にならないから挨拶して、 あなたは自転車で走り抜ける。 徒歩の私は、その背を見るだけ。 追いかける事も出来ないまま。 もしあの時、大声であなたを呼び止めたなら、どうなっただろう。 不思議。あなたと居た時間は、たったの2年半。 でも、出会って会えない時を含むと10年近くなる。 離れてた時間の方が、はるかに多い。 中学の私の恋心は、恋に(あこが)れて本当の恋と言えただろうか?              ##
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