幸せのかたち

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 ねぇ、もし神様・仏様が本当に居たら、あなたは信じる? 再会したのは偶然?必然?どっちと思ったの。  初めて会った時、子供だった私。 自分でも奥手だと思うほど、恋に臆病で自分の心に(ふた)をした。 それが。 再会したとき、大人になってた。 ワザと大人になる(まで)、巡り合わないようにされてたみたい。  だって付き合ってから、聞いたの。 「あの時、告白したらどうしてたの?」って。 「お前が中学の頃?」 「うん!」 弄るのは、好きだからでしょ? 「いや~、妹みたいで可愛くって。いちいち反応するのが楽しくてさ。 俺、妹が居ないから余計に気になったのかも。」 「うん、気に入ってたな。でも恋愛感情は無かった。」 ガアアア――――ン‥!!!!  あの時、コクらなくて良かった。 私、撃沈してたよ。 「じゃあ、今は?」 「美人になったと思って。それに聞いてたから。」 「親父さんが入院した時、働いて家族を支えた事。‥仕事も家事もしてさ。 悩みもあるだろうに…。」 「兄貴にも言えない事を隠して、支えてただろ?」 やはり、兄には気付かれてたか。 それでも口下手な兄は何も言わない。不器用でシャイなのだ。 ワザと気付かないふりしてたと思う。 それもみんな、聞いてたんだね。             ##  父が寝たきりになった時、私は中学3年。 普通は受験でワイワイしてる時期だが、私は別の意味でドタバタした。 寝たきりの父の付き添いは、いつも私と一緒だった母。 今みたいに病院は完全看護でなく、いつも付き添いは嫌味を言った。 1人付きの付き添いじゃないから、寝たきりの父だけに構ってられない。 もっと家族に来て欲しい。菓子の1つでなく金を握らすものだ。 それに2人でなく、別々に来ればいいのに。 要するに、手伝えという事。 中学の私に手伝えって、相当な感じ。 私はチビで、細かったから看護なんて出来そうも無いのに。  
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