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とうとう、この旅も終りかあ。
一行を乗せた新幹線が今、発車しようとしていた。
名古屋駅を後にして、景色は足早に過ぎ去るようになった。
私はと言うと、今、幸せの一時を過ごしている。そう、ゆうくんの肩にもたれて寝たフリをしているのだ。
柔らかく暖かい彼の肩にもたれている。
最初は涼子先輩やるなちゃんにゆうくんが、からかわれていたけれど。
「寝かせといてあげてください」って優しくかばってくれた。ありがとうゆうくん。
少しして、私の額をトントンと軽くつつかれた。
「よく寝ているな」とゆうくんの声。
すると、彼は私の耳元で誰にも聞こえない程の声で呟いた。
「僕はゆかが好きみたい。僕と付き合って欲しい……練習終り」
この旅で少し、調子に乗りすぎたかな、こんなに早く嬉しい言葉が利けるなんて……上手く行かないな……。
嬉しい気持ちを胸に、私は本当に眠りに着いた。
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