僕は、この物語の題名を知らない

あじさい

いやぁ甘い！シロップふんだんにかかってるからね！そして冷えと温かって美味しいね。口に入れた後もなかなかソフトクリームは温くならず、じわじわ温くなるんだけど……。
味覚の関係上冷たいより暖かい方が甘く感じるから、噛めば噛む程甘さが広がっていく感じで……。
それでもって、もう一口入れるとソフトクリームの冷たさで口がリフレッシュされるから、いくらでも次に行けると言う。
おそろしや白ノワール、私も普通で良かったかも……。

黙々とみんなで食べていると、ゆうくんがいじっていた携帯をみんなの見える様に差し出してきた。
「これ行ってみたいんだけど」
そこには『あじさい坂』と書かれた写真が載っていた。
背の高い木々がアーチを形成し、坂の両袖をあじさいがずっと続く長い坂、とても素敵な写真だった。
「いいねキレイ行ってみたい。場所はどこにあるの」
「市内なんだけど、鬼怒川の向うの清原みたい」
清原では結構遠いなあ、バスでトコトコ行くしかないか。
「みんながよければなんだけど、吉田先輩と涼子先輩が車持ってるみたいだから、僕頼んでみようか？このメンバーだけで行くとしたら。バスかな～」
涼子先輩とか車持ってるんだ！凄いなあ！てかそれ良いアイデアだと思う。るなちゃんも健治くんも「いいねー！」って言ってるし。
「私も良いと思うな！」

満場一致で決定した。

＊　＊　＊　＊　＊

次の日。

「おう、俺の車で！いいよ！」
「ああ、私の車で！いいよ！」

二人ともOKを出してくれた。こうして、次の日曜日、天気予報だと一応晴れだからサークルみんなで行くこととなった。