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「話し変わるんだけどさあ」って涼子先輩が話し始めた。
「ここ行きたいって言ったの祐司くんなんでしょ?ゆかと回りたかったんじゃないの」
「えへへへ、そうなんですかね」何て言ってちょっと照れ臭い。
来たら声かけてみようかな?
「でも何で祐司くんは来たかったんだろう?ゆか去年は来たりしたの?」
「いえ、初めてですよここ。ただの思いつきじゃないですか?」
そう言うわれてみるとなんでかな?もしかしたら理由があるのかな?ちょっと聞いてみよう。
そんな話をしていたら、やっと男共がやっと来た。オーイって言いながら。
手を振るゆうくんに私も手を振り替えした。
男子も交えて、麓で少し休暇して、じゃあ戻ろう、と言う事になった。
すかさず私はゆうくんに「一緒に歩こう?」って聞いてみた。
「うん、行こう!」
って笑顔で返してくれた。
私達は、一番後ろをゆっくりゆっくり歩いた。
みんなに少しずつ置いていかれるようにゆっくりゆっくり歩いた。二人っきりになれるように。
「ゆうくんは何でここに来たくなったの?」
ちょっと気になってたから聞いてみた。
するとゆうくんは、真面目な顔であじさいを見上げた。遠くを見るような目だった。
「ここは小さい時に親と来たことがあるんだ。ほら、今昔の記憶が曖昧だから、何か思い出せるんじゃないかって思って……」
そう言うことか……ごめんね、ゆうくん、でもまだ思い出さないで欲しい。私がいなくなるまでは……
それにしても、やっぱりこの坂帰りの方がキツイ。もうすぐ頂上だから頑張らないと……
その時だった。頭の上から血の気が引いたのがわかった。
そしたら、力が入らなくなって足がガクガク震えて、これはまずいと思った。
このままじゃ倒れ込む、膝をつこうにも地面が遠い、どうすれば……。
みんなあー!と叫ぶゆうくん、しかし、遠い。意識がもうろうとする中、ゆうくんがおぶってくれた。温かい背中……私、死ぬのかな……私の意識はここで途切れた。
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