あじさい

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病室って本当に退屈だ……。本当に部長の言う通りだ。 あれから何日経ったんだろう5日位かな? みんな元気にしてるかな。ゆうくんは朝、大学行く前とかに立ち寄ってくれたりするんだ。なんか私のために授業で頑張ってノートとってくれてて、届けてくれるんだ。 倒れる前は授業、寝てばっかしだったのに……私のためにと思うと凄く嬉しい。 はあーっ。本当に退屈だ。 病院のご飯は美味しいけど……ちょっと質素かな……食いしん坊は困るね、てへ。 9月からは……たぶんもっと他の病院になるとは思うけど……最後までこんな感じか……。 相変わらず外は雨が降っている。 それだけが有難い。もし晴れて子供達が外で遊んでいたなら、きっと部長の言葉を思い出して揺らいでしまうだろうから……。 今は雨でいい。 そんなとき、病室のドアをノックする音が聞こえて来た。ゆうくんかな? 「入っても大丈夫ですか?」 健治くんの声だった。一人かな? 「大丈夫だよ」って言うと扉が開いたら。 変わらない健治くんがそこにいた。久しぶりだったから、何だか嬉しいな。 「元気そうだね、健治くん!」 「ゆかさんこそ、元気そうで良かった」 健治くんはパイプ椅子を手に取ると私の方を向いて座った。 彼はどこか思い詰めた顔をしていた。 「何かあったの?」 いや……っと一度何かを言いかけ、彼は深呼吸をした。 「俺は、留学を決めたんです。それで、ゆかさんが退院する前に旅立とうと思います。だから、最後のお別れを言いに来たんです。」 そうだったんだ。健治くんがいなくなっちゃうのは寂しいなあ。出来れば私の最後までいて欲しかったけど、それで後悔させたくないからね。ここは笑顔で見送らないと……。 私は、頑張って笑顔を作った。 「頑張ってね、残りを頑張るから」って良い終える前に涙が流れてしまった。 だって仕方ないよね、せっかく仲良く慣れたのにもう会えなくなるなんて、私は死んじゃうんだもん。 彼の方がきっと悲しい、泣きたくなかったのに……。 それでも、涙を拭いて、私は笑顔を作った。 彼は無言のまま立ち上がった。 「帰りますね」と言って足早に病室を去っていった。 私は、忘れる様に目を閉じて眠りについた。
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