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「涼子先輩は、何でテニスサークルの他に、ここも入ったんですか?」と私が質問した。
「実はさあ、最初は海乃部長に引かれたてここに入ったんだよ。」
はぁー、と彼女は昔を思い出すようにため息をついた。
「でも海乃部長にはその頃から彼女がいたんだよ。さくら先輩って言う。だからテニスサークルも入ったんだよね。」
さくら先輩は現四年生で、去年まではサークルに所属していたが、今年は就職活動と言うことでサークルは卒業していた。
その彼氏の海乃部長はと言うと進学が決まっているから自由なんだって。
「面白いのがさあ」と、笑いながら彼女は話を続けた。
「吉田はさくら先輩が好きで最初、入ったんだってさあ!」
その話も初めて聞いたけど、やっぱりどう考えても二人はお似合いな気がする。
だから「付き合ってみればいいのに~?」と私は話をふってみた。
そしたら彼女は、「もう少し今の感じを楽しみたいんだよね。」と、遠い目で幸せそうに微笑んでいた。
* * * * *
梅雨も開け、中間試験三日前の日。
部室で一年の三人で集まって試験勉強をしている時の事だった。
ガラガラと部室の扉が開いた。
そこには、私には懐かしい人が立っていた。
明るい栗色のショートヘア。
それに合わせた色のハイウェストの膝竹まである爽やかなワンピース、ワンピースは胸の後の背中で大きなおリボンを結べるらしく可愛らしさも持っている。
そんな、爽やかであって可愛らしいワンピースにぴったりな、ちょっと丸顔で大きな瞳のキレイなお人形みたいな、さくら先輩が立っていた。
「みんな、勉強して偉いね!雪兎さんいる?」
海乃雪兎部長を探していた。
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