嘘という名の日常

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嘘という名の日常

ゆうくんは長い間、意識不明のままだった。いつも私は側についていた。 やっと目が覚めたのは4月も中頃のことだった。 「ゆうくん!」 彼は、普通の朝が来たかのようにむくりと上体を起こした。 辺りをゆっくりとみまわし、私のところで止まる。 彼はまじまじと私を観てこう呟いた。 「あなたは誰ですか?」 *  *  *  *  * 彼はひどい記憶喪失になっていた、ここ一年間の記憶がないみたいだった……。 私は、どうするべきか悩んだ……。 このまま彼の目の前から消えてしまった方が良いのではないだろうかと……。 でも、それだと絶対に後悔する。 私は最後まで、思いっきり生きないと。 ある計画を立てた。 彼の両親、友達、学校にも協力してもらって。彼にはもう一度、私と一緒に一年生をやってもらうの。 彼と付き合い始めたのは11月。 10月25日、彼の誕生日を祝った時、彼から告白をもらった。 だから……彼の誕生日を祝ったら私は彼の目の前から消えるよ。 それは、彼の告白を断る事と同じだと思うから。 もう一つ、彼に嘘をつくことにした。 大学の入学式で出会ったにしては仲が良すぎるから、彼とは幼馴染で大学で再会したという設定にさせてもらった。 私の両親にも彼の両親に挨拶させて面識あるようにしたし。 死ぬ前に彼と人生楽しむんだ。
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