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四年に一度
学校の怖い噂と聞くと、絶対に思い出す話がある。
これは私が通っていた中学校の話だ。
今から15年以上前、私は親の仕事の都合で、小学校を卒業と同時にI県のS町に引っ越した。
S町は閑散とした田舎町だった。
国道から一本裏を行けば田園が広がり、電車は一時間に一本といった調子だ。
町の中心部に位置する駅前は再開発が進みベッドタウンと化している。
私は駅前の新築マンションに入居したおかげか、不便さはさして感じなかった。
一応中心部ということで私が入学したS中学も町内で一番生徒数が多く、一学年につき7クラスあった。
親は転勤族だったし、小学生の間に二度転校したことがあったから、今更見知らぬ土地でやっていくことに不安はなかった。
そんなことよりも憧れていた中学生活。
私は制服を着て学校に通うことに胸を踊らせていた。
入学式を無事に終え、順調に友達が出来た頃。
入学してから三日目に私はその噂を聞いた。
「うちの学校って四年に一度、人が死ぬんだよ」
あまりにも漠然とした噂話だった。
私は笑い話かと思って「何それ」とケラケラ笑いながら返事をした。
しかし噂を口にした本人は愚か、周りの数人まで深刻そうな表情を浮かべている。
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