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後から知ったのだがこの噂はとても有名なもので、卒業生も、保護者も、近隣住人も絶対に一度は耳にしたことがある……といっても過言ではなかった。
学校中で知らないのは他所から来た私くらいだったのだ。
「人が死ぬって、誰が死ぬの?」
私が問い掛けると友達は首を傾げた。
「さぁ……それはわからないんだよね、とにかく四年に一度、絶対学校の中の誰かが死ぬんだって」
「なんで四年に一度なの?」
「それもわかんない、教頭の呪いかな」
「教頭?」
友達に詳しく話を聞くと、昔この学校の教頭が校舎裏の木で首を吊って死んだらしい。
話を聞いていた他の友達も「頭がおかしくなった女の先生が授業中に屋上から飛び降り自殺したんだって」とか「飛び降りる先生と目が合ったらしいよ」などと次々と話し出した。
結局"四年に一度"の謎は解けないままであったが、学校関係者が死ぬということと、その"四年に一度"が不幸にも今年に当たるということはわかった。
運が良ければ四年に一度の死と全く関わらずに卒業していく学年もある。
しかし私たちが入学した年はちょうど死者の出る年であった。
もしかしたらこの中の誰かが死ぬのかもしれない。
俄に信じ難いが、何処か気持ちが悪い。
皆沈んだ気分を誤魔化すように聞き齧った怪談を各々話しては、キャーキャーと大袈裟に騒いだ。
そんな話も忘れた一週間後。
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