それでは、ゲームスタート

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-入学式の翌日 一年生の教室前- 「………本当に大丈夫なのか、セシル?」  昨日と同じく、心配げな表情のシャルがセシルの顔を覗き込むようにして、問い掛けた。  今朝のセシルの顔色は悪くはなかったけれど、その表情は何処と無く、沈み込んでいるように暗かったから。  過日(入学式の数日前)逢った時のセシルに変わった様子はなかったし、別れ際まで何事もなかったはずだ。  なのに。あの入学式の日から…正確には入学式の直前から様子がおかしかった。そう、姿の見えないセシルを探し出した直後から………。  妙に深刻な、考え込むような仕草をする。僅かに感じる違和感。セシルは引っ込み思案だが、シャルに対しては朗らかで、よく笑みを見せる少女だったのに。  あの入学式の直後から、彼女のを見ていないのだ。 「ですから、問題ありませんの。少々、考え事をしていただけですわ。」  そう言ってセシルは微笑むけれど。その笑みは、やはりぎこちなくて、どうしても違和感が拭えない。  彼女は間違いなく、シャルの初恋相手で、婚約者のセシル………『セシリアーナ=マリウス=カルナーダ第三皇女』だ。
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