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「先生のくせに留年ってどうなのよ…」
まるで我が事のように大きく肩を落とし、イズミはため息とともに言葉を吐いた。
「アリだと思う」
言いながら、僕はホットサンドに齧り付いた。
昼刻、その喫茶店は埃っぽくて一輪挿しは萎びていたが、料理はいつも光っている。
来るたびにホットサンドを頼んでいたら、やがて来店と同時に手を少し振るだけでホットサンドが出てくるようになった。
たまにメニューを開いてみたりもしたが、閉じる頃にはホットサンドが出てきてしまうのでまあいいやと思い現在に至る。
気さくなおばさんがサイフォンでキリマンジャロを淹れてくれて、その酸味がまた食後に合うのだった。
「くっふ。自分で言うなし」
彼女はレモンスカッシュのグラスに点いた水滴を指先でいじる。
「母さんと一緒に卒業祝いしてあげようと思ってたのに、」
「おー、祝ってくれ」
「そ、つ、ぎょ、う。意味分かる?もーモグモグしながら喋んなー」
その年、僕の単位の取得は進級要件を四単位下回り、四月からは四年生をもう一度始めることになっていた。
四並びで実に縁起が悪い。
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