序章

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序章

------ 監禁されて二週間経過した ----- この暮らしにも大分慣れてきた。 というより、むしろ快適だ。望めばある程度の物は労せず手に入る。不都合な事は「人と話せない事」あとは「窓が無い事」だ。別に人と話す事が好きなワケではない。どちらかと言えば嫌いな部類だ。ただ、全く話せない環境にいるということは苦痛でしかない。最近では独り言をよく話すようになってきている。これはその影響だろう。 初日は「出せ!」だの「目的はなんだ?」だの叫んでいた。入口をバンバン叩いたりもした。死んでやろうとも試みたが、そんな勇気はない。死ぬことが勇気かどうか?と言われれば分からない。 ただ、ただ、、それだけは無理なのだ、、、 今となってはそういう気も失せた。外へ出ることは不可能だ。ならいっそこの生活を楽しんだ方が良いと、そんな感覚に陥っている。人間とは不思議なものだ。 --------------------------------------------- ・一日一度の食事は保障する。 (但し不手際があった場合はその限りではない) ・毎日一つ好きな物をメモ用紙に記入し、入口のポストに正午までに投函しろ。 (こちらが必要無いと判断した場合を除く) ・15時から5分間だけ扉を解放する。 そこに食事、記入したものを置いておく。 --------------------------------------------- この紙の意味も(ようや)くある程度理解出来た。 どういう理由で犯人は監禁しているのか? また、いつになればここを出る事が出来るのか? 不安渦巻く感情の中、時だけは確実に過ぎていく、、、
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