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「けど、封筒に入っていたのならそれは手紙だろ。ゴミじゃないだろ?」
「あれはサンタ宛てだった。だからゴミだ。」
「サンタか・・・そりゃあゴミだな。」
「ああ、ゴミだ!」
ミッチェも怒って煙草を思い切り吸った。ミッチェは最近、ハピとネスに言われて煙草の本数を減らしていたから、勢い良く吸ったとたんにくらくらと椅子から落ちそうになった。
「アニューもミッチェも落ち着け。確かにサンタは嫌味な奴だ。
さほど働きもしないのに世界中の人気を独り占めするわ、服だって一着しか持っておらんのにみんなあいつの真似をしたがる。
男も女も犬も猫も、最近は街角の看板や柱まで、わしと黒田が頭をひねりにひねってムーブメントを作り出しておるのに、あいつはこの時期になっただけで、何の努力もなく人気をかっさらっていきおる。
全くふてぇやろうだ。しかもこの時期に赤を使うとサンタの真似したとも言われかねん。
一体いつから赤があいつも色になったんだ!全く許せん!腹が立ったら、腹が減った!アニュー。いつもの味噌煮込みパスタちょっと甘めネギましましの麺アルデンテ、鶏肉レアでをいっちょ!」
訳の解らないフィッシュの解説の間に味噌煮込みパスタは制作進行中で、そこにいつもの倍の量のネギと切ったばかりの鶏肉を乗せてフィッシュの前に出した。
「早いなアニュー。」
「フィッシュは最近必ずそれを食うから、昨日から作っておいたんだ。」
「そうか、気が利くな。」
フィッシュは出来立てあつあつの味噌煮込みパスタの蓋を開け、ふうふうと息をかけて冷ましてから食べるつもりが、思いのほかあつあつすぎてふうふうと息をかけるたびにネギが散らばり、折角ネギましましで注文したのに、普通の量になってしまった。
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