へびいちご、クリスマスを迎える

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腹を立てていたのに、翌日も、また翌日もサンタ宛ての手紙はどんどんと増えて、気が付くとアニューのクリスマスツリーはいっぱいの手紙で雪が積もったように真白になっていた。 「くっそ!ムカつく!」 アニューはその手紙を片っ端から破り捨てた。朝から晩にかけて、朝から翌朝にかけて、朝から翌々日の夜までかかって破り続けたが、まだまだ追いつかないほどにどんどん手紙は増えて行った。 「アニュー大丈夫か?」 「少しやせたんじゃないか?」 ミッチェとフィッシュは毎日ただただ手紙を破り続けるアニューをとても心配になってやって来た。 「もうほおっておけよ。」 「そうじゃ、そんな手紙にむきになっておったらわしの味噌煮込みパスタを作る時間が無くなるじゃろ。」 「ほおってなんかおけるか!サンタへの手紙は日に日に増えやがる。俺達は毎日ここで汗水たらして働いているってのに、一枚の手紙すら来ねぇ!なのに、一年三六三日遊んでいるあいつになんでこんなに手紙が来るんだ!ここで黙ってこの手紙をサンタに渡したら、悪魔として長年やって来た俺の沽券にかかわる!」 アニューは手を固く握りいつもよりかなり大きな声で叫んだ。 「そうだ!大切なのはプライドだ!」 ミッチェも手を固く握り、耳を傾けないと聞こえない、いつものミッチェとは思えないほどの大きな声で言った。
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