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クロカミサマの噂
「ねえ、クロカミサマって知ってる?」
真雪は白い息を吐きながら振り向いた。
「え?何それ」
美空(みそら)と真雪(まゆき)は、小中高大一貫教育のエスカレーター式の大学二年生である。
ずっと同じ学校で、幼馴染、そして群を抜いて優秀なことで、二人は大学でも一目置かれ、さらに二人そろって美形ということでも注目を浴びていた。
「美空と真雪って、いいよね。頭良くて美人なのに、まったくそれを鼻にかけていないし、ライバル心とかまったくなくて、本当に仲いいよね。」
周りからも人気は高かったが、他の綺麗なだけの女子とは一線を画して、聖女的な憧れにも似た存在であった。
美空に彼氏ができたという噂が立った。美空を射止めるなど、どんな男なんだと騒然となり、美空自身はうまく誤魔化すばかりで、決してその男性が誰なのかということを明かさなかった。
しかし、親友の真雪だけは知っていた。美空の彼が誰なのかということを。
「クロカミサマ。知らないの?」
美空は、真雪に微笑んだ。
「うん、知らない。」
「あのね、ちょっとした都市伝説みたいなものなんだけど。」
彼女は女子高生のようにはしゃぎながら彼女にクロカミサマの話を始める。
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