自殺スマホ

中古スマホ

大学生の瀬川は最寄駅にあるリサイクルショップで中古のスマートフォンを購入した。
国産のやつで新品なら10万円くらいする。
それが5千円で売りに出されていた。掘り出し物だ。

これに格安のSIMカードをさせば、大手キャリアで契約するよりも遥かに安く使えるのだ。
思いがけない買い物ができて、瀬川は上機嫌で家に帰った。

だが、それから数日してスマホに異変が起きた。
インターネットのブラウザを開くと何故か、『自殺　やり方』といったサイトが最初に開くのだ。

無論、瀬川はそんなのを検索した覚えは無い。
気持ち悪いので毎回検索履歴を削除するのだが、それでも自殺サイトに飛ぶ。
試しに初期化してみたが同じ事だった。

おかしいのはそれだけじゃない。
夜中充電していると、スリープ状態にしているのに勝手に画面が立ち上がったりした。

スマホが壊れている。
瀬川はそう考えて、スマホを購入したリサイクルショップにクレームを言いにいった。

店側の対応は実に淡白だった。
あっさり返品に応じたのだ。

店を出るとき、店員が「またか」と小さく呟くのが瀬川にも聞こえた。