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彼氏の両親も優子を笑顔で迎え入れてくれ、当日まで不安や緊張を抱えていたことが馬鹿馬鹿しくなるくらい和やかに時間が過ぎていった。
そうして就寝時間となり、同じ部屋で寝ていた彼氏がふと思いだしたようにおかしな話をし始めた。
「そうだ、優子にはまだ話したことなかったよね。この家の裏に山があるのは見ただろ? そこの山にさ、ちょっと変わった池があるんだ」
「池?」
何の話だろうと思いつつ、優子が訊くと彼氏は
「そう。俺が生まれるよりずっと昔からある池なんだけど、そこ、水の色が少し赤いんだ」
とどこか得意そうな声音で告げてきた。
「どうして赤いのかはわからないけど、ほら、海なんかもさ赤潮とかで水が赤くなることもあるし、何かそういう自然現象なんだろうな。ただ、この辺の人たちはそこの池は魔物が棲んでる危ない場所だって言ったりしてる。地獄と繋がっていて、いたずらに近寄ると鬼が出てくるなんてさ」
子供の頃は、本気で信じて怖がってたもんだよ。
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