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暗い部屋の中、内容とは裏腹に軽い口調で話す彼氏には、優子を怖がらせようとしている雰囲気は感じなかった。
あくまでも、眠くなるまでの場つなぎ的な意味で語りだした話だったのだろうが、優子としては赤い水で満たされた池を想像するのは今一つ気分の良いものではなく、つい硬い声を漏らしてしまった。
「何だか、不気味なイメージね」
「まぁ、田舎なんかにはどこにでもあるんじゃないのか、こういう話は。でも、確かに不気味ではあるかもな。なんなら、明日ちょっと行ってみないか? 俺も高校……いや、違うな。最後に行ったのは中学のときか。十年以上前に行ったっきりだし、久々にどうなってるのか確かめてみたくなった」
「ええ? 危なくないの?」
この突然の提案に優子も困惑したらしいが、恐いもの見たさと彼氏が子供の頃に遊んでいた場所を見てみたいという好奇心が重なり、嫌だという気持ちはそれほど強くは湧かなかった。
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