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学校と言えば怪談。
怪談と言えば学校なのだと、校長先生は夏休み前の長い挨拶を終えた。全校集会で言うような内容では無いだろうと。子供の集団がざわめく。
五年二組の教室へ戻ると、話題校長の話で盛り上がる。
「さっきのって、やっぱり八不思議の事だよな」
クラス仕切っている神木リサは、仲の良いメンバーを呼び出すと楽しそうに話し始めるのだった。
八不思議。
そう、この学校には昔から言われる七不思議があるのだとか。
どこの学校にもある。
有名な定番の奴である。トイレの花子さんや音楽室のベートヴェン、保健室の口裂け女や十三階段。それから、真夜中の鏡に走る人体模型、後はなんだったか。そう、人面犬がグラウンドに走っているとか。そんな具合である。
「七不思議じゃないの」
クラスで一番小さな榊チセは怖い話が苦手な為、知らないのだろう。
「チセは怖がるからね。聞かない方が良いよ。最近現れたんだ。八不思議目の怪談がさ」
神木リサは、得意げに語る。
「そうする。トイレに行けなくなっちゃうよ」
「そうだな。チセは花子さんが怖くて、トイレを我慢して大変だったもんなぁ。あれは三年生だったっけ」
「もう、恥ずかしいよ。リサちゃん」
神木リサと榊チセは仲が良い。
一年から五年まで同じクラスなのだと言っていた。
五年と六年は同じクラスに成るため、卒業まで同じクラスなのだろうと思うのだ。神木リサと榊チセの話に僕は聞き耳を立てている。
女子の会話に呼ばれる訳でも無く、盛り上がる男子の話題に呼ばれる事も無い僕は転校してきたばかりで、仲の良い友達は居ない。
何となく、神木リサの隣の席という事も有り、クラスに馴染みはしているが、前の学校の方が好きである。
戻りたい。
願いたくなる。
八不思議の月城月子さん。
僕は、友達が欲しい。
僕は、榊チセと仲良くなりたい。
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