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月は丸に成りかけている。
深夜の公園である。
学校の近くの公園のブランコに二人揺られている。
神木リサは明日死ぬ僕を助けたいと、この公園に呼び出した。
「月城月子を馬鹿にしてはいけません。馬鹿にしたら満月の夜会いに来る。貴方の命を貰いにくるよ」
歌が有るのだと彼女は歌う。
「アナタの命と私の命交換しましょう。今すぐに。分けて下さいその命。サヨウナラ」
コレが月城月子の歌。
「嫌な歌だな。幽霊と命を交換って、僕幽霊になるのか」
「ええ。次の月城月子に転校生がなるんだと思う」
次の月城月子になる。
死ぬより怖いかも知れない。
「でも、聞いて。明日満月に転校生に会いに来るけれど、そこで命が取られる訳じゃあないのよ」
会いに来る。
「どういう事」
「歌の他にも噂があるの」
神木は公園を見渡す。九時を過ぎ周りに小学生は居ない。
警察や大人の目を気にしているのだろう。補導される時間である。こんな時間に呼び出したのは、他の人を巻き込まない様にだと神木は言っていた。
「まずは、転校生の味覚を奪いに来るの」
「味覚って味」
「そう、月城月子は人のモノを奪うのが大好きなんだって。五感全てを奪ってから命を奪う」
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