八不思議

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「最低だな。じゃあ美味しいものを食べても味がしないのか、でも生きていられるんだね」 「生きていられるかしら。五感って大事だと思う。それに、その次は夢に現れます。悪夢しか見られなくなるんだって、魂を夢に閉じ込めちゃって出られないの。ずっと怖い夢から出られなくなる」  怖い夢。  時々見るが、夢から出られないのか。 「お祓いに行っても無駄なのは、子供にしか見えないからだそうよ。見えないモノは祓えない。大人は頼れないの」 「じゃあ、僕はどうなるんだ」  神木リサは、うーんと黙る。  遠くでは、家族で楽しそうに花火をする姿が見える。  その中に、チセの姿が見えた気がしてしまう辺り、恋である。  初恋である。  話したことも無いし、話すことが出来ないまま僕は月城月子に消されるのか。 「夢から出られなくなって、死ぬ。そして次の月城月子になって誰かを襲うのでしょうね」  でしょうねって。  助けてくれよ。 「そう言えば、転校生よくこの時間に家抜け出せたね」 「ええ、そんなのどうでもいいから助けてよ。うち共働きだからさ、十一時ころまでいつも一人なんだ」  だから、大人に見えない幽霊だろうが、襲われる時、誰も助けてはくれない。叫んでも誰も来ないのだ。 「ふーん。私も同じようなものね。助かる方法もあるのよ」 「教えて」     
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