6人が本棚に入れています
本棚に追加
「教えることはできるけれど、転校生には出来ないかも知れない。だって、ねぇ。親友って誰」
「親友なんか居ない」
「でしょうね。歌にはまだ続きが有るの」
助かりたいなら捧げよ。親友。
親友よこせ。友人よこせ。兄弟よこせ。命をよこせ。
「つまり、誰かを生贄に助かるって事」
神木は震える僕の肩に手を置く。
「そうだね。だから、転校生には無理。親友が居ない。友達が居ない。兄弟も居ない。生贄が一人も居ないのよ。もし生贄が居るならその人へ月城月子は迎えに行くのよ」
綺麗な筈の月が怖ろしく見える。
明日の満月を見るころには僕は、居ない。
「一応やり方を教えてくれないか」
「誰かを犠牲にするのかい」
そうでは無いが、一応知りたい。何が役に立つかは分からないのだから、少しでも武器が欲しい。
「簡単よ。月城月子さんの話をするだけ。そして怖がらせる。そうすれば親友の命と引き換えに、願いが叶うんですって。どんな願いも叶う」
願いが叶う。
僕もソコは噂で聞いていた。
願いが叶う代わりに、何かを失うと。
「その願い事で、自分を襲わないでと言えば助かる」
成程、結局願いはソレになるのか。
もう駄目そうだ。
家族を犠牲にするにも、一人っ子の僕は犠牲にする兄弟も居ない。
「なんだか、友達と言うワードが多いよね」
最初のコメントを投稿しよう!