八不思議

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「教えることはできるけれど、転校生には出来ないかも知れない。だって、ねぇ。親友って誰」 「親友なんか居ない」 「でしょうね。歌にはまだ続きが有るの」  助かりたいなら捧げよ。親友。  親友よこせ。友人よこせ。兄弟よこせ。命をよこせ。 「つまり、誰かを生贄に助かるって事」  神木は震える僕の肩に手を置く。 「そうだね。だから、転校生には無理。親友が居ない。友達が居ない。兄弟も居ない。生贄が一人も居ないのよ。もし生贄が居るならその人へ月城月子は迎えに行くのよ」  綺麗な筈の月が怖ろしく見える。  明日の満月を見るころには僕は、居ない。 「一応やり方を教えてくれないか」 「誰かを犠牲にするのかい」  そうでは無いが、一応知りたい。何が役に立つかは分からないのだから、少しでも武器が欲しい。 「簡単よ。月城月子さんの話をするだけ。そして怖がらせる。そうすれば親友の命と引き換えに、願いが叶うんですって。どんな願いも叶う」  願いが叶う。  僕もソコは噂で聞いていた。  願いが叶う代わりに、何かを失うと。 「その願い事で、自分を襲わないでと言えば助かる」  成程、結局願いはソレになるのか。  もう駄目そうだ。  家族を犠牲にするにも、一人っ子の僕は犠牲にする兄弟も居ない。 「なんだか、友達と言うワードが多いよね」     
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