八不思議

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 両親は仕事が忙しく、帰って来ていない。  真っ暗な家の電気をつける。テレビをつけて、音を出す。何かを食べようとは思えなかった。  もし、味がしなくなっていたら、月子さんは既にココにいるのだと証明されてしまうからだ。  スマートフォンが光る。  神木リサの連絡先の入ったスマートフォンを手に取る。 「うわああぁ」  思わず投げてしまったソレを恐る恐る拾い。もう一度、画面を見た。  ディスプレイ画面に映る白い服を着た髪の長い女。  女の眼は白眼をむいていた。  背中に汗が流れる感覚が気持ちわるく冷たい。  喉が音を立てるのが分かる。  とんとん、とんとんとんとん、とんとんとんとんとんとん。  どんどんどんどんどんどんどんどん大きな音。  玄関。 「お母さんだ。帰ってきた」  扉を開こうとして、手が動かなくなる。 「おかあ、さん」  どんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどん。  バン、バンバン、バンバンバンバン、バンバンバンバン音が変わる。  違う。  誰だ。  月子さんか。  本当に来たのか。 「うわああああ」  布団に包まる。  扉を叩く音はまだ聞こえている。  そして、女の声が聞こえる気がした。  歌が聞こえる。  あの歌だ。  あの声。  公園で聴いた歌と全く同じ声だ。 「アナタの命と私の命、  交換しましょう。  今すぐに。  分けて下さいその命。  サヨウナラ」
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