春の日を待ち侘びて

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春の日を待ち侘びて

 静まりかえった教室は、どこか余所余所しい。  今日という日の厳粛な空気がそうさせるのか、関係ない生徒は登校禁止なのにもかかわらず、先生の言うところの“関係ない生徒”である私という不穏分子が紛れ込んでいるからなのか。  窓の外は、門出を祝福するかのような好天。  穏やかな風が桜の木枝を揺らしている。  今日は“陽にーちゃん”卒業式だ。
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