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「噂だと『エミちゃんの秘密』が隠されてるらしいぜ」
「は？ 誰それ」
「な、俄然興味出てきただろ。分かったらお前もそれ確認しろ」
「興味より疑問しか湧かねえよ。まず誰だよエミちゃん」
「知らねえけど、女の部屋の中とか見られるようになるらしいぞ。絶対エロいやつだろこれ」
あっ馬鹿だ、と俺は思った。
「なんで知らねえ女の私生活情報なんかポケットティッシュに仕込む必要があるんだよ」
「それは当たった奴だけが分かるお楽しみだろ」
「どの会社のティッシュが対象商品なんだ？」
「さあな」
ヒデが首をひねる。要するに、ただの噂話だ。
「けど、実際興味湧いてきたじゃん？ その時点でもうお前は広告会社の思うつぼなわけよ」
そして、自然と話題は別のものに移った。
俺はティッシュをポケットにねじ込んで、それきりその話は忘れてしまった。
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