1 ウソだと言ってよアケチィ

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──そこまでの高さじゃなくても。 身体が後ろ向きのまま、ひっくり返って。 私は頭から床に──落ちる。 ──これ、ゼッタイに痛いヤツ……!! 認識は出来ても、対処は出来ない。 私はギュッと目を強く瞑った。 「──あぶない!! 」 ────え……? 声が、聞こえて。 風を感じたと思ったら、なんだかふっと甘い匂いに包まれた──気がした。 「間に合った…… 」 柔らかなハスキーボイスの後に続けて、はぁーっと脱力したような息づかいが聞こえてくる。 しっかりとした大きな手の感触と、あたたかな体温のぬくもり。 そしてかすかに、心地よく思えてしまう甘ったるい匂い。 「なんとか、とどきました……大丈夫ですか? 」 とどいた、というその手の力がほんの少しだけ解かれた。 大丈夫かと聞かれて、ようやく気付く。 私はどうやら、頭を打たずにすんだ…… 『誰か』が私を抱きとめて、助けてくれたから。 「大丈夫……です…………」 頭から落下は回避したけど。 さっきの視界真っ白状態も、何故かもう無くなっているっぽいけど。 脳内の警告音は、未だ消えてくれていない。 目を開けた先にいたのは ビッッックリするほど、整いが過ぎちゃってる男子。 サラサラの黒髪を、こなれた感じに無造作させてる長めのショート。     
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