1 ウソだと言ってよアケチィ

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1 ウソだと言ってよアケチィ

あなたには箱買いするほど、大好きなお菓子はありますか? 私には、あります。 いえ、ありました……。 「生産終了……? 」 その別れは突然だった。 「はい。いつもお求め頂いていましたヨーグルト味だけ終売で……他の味は引き続き販売なんですが」 月に一度、自分へのご褒美に箱単位で買っている大好きな駄菓子『ガブリッチュー』 仕事帰り、いつもの様に買いに来た私を待っていたのは、愛するお菓子ではなくて非情なお知らせだった。 幸せ気分からまっさかさま、私は絶望へとたたき落とされる。 『ガブリッチュー』は私にとって、1本30円(税別)で手に入る『幸せ』そのもの。 スティックタイプのチューイングキャンデーで、それはもうめちゃくちゃに美味しい。 噛めば噛むほど味が広がって、ほっぺたが美味しさでじんわりしてきて、口が幸せの宝石箱や~!! ってなる。 そんな最高の、私のお口の彼氏。 それが『ガブリッチュー』 味は基本4種類。その中でも1番大好きで、ひたすら一途に買ってきたのがヨーグルト味だった。 「なんで……」 なんでよりによってヨーグルト味だけが……!? 私は一旦その場を離れて、スマホでガブリッチュー公式サイトを確認する。 お店の人を疑うわけじゃないけど、あまりにもその事実を受け入れられなくて……。 スマホ画面に表示される、ガブリッチューのラインナップ紹介ページ。 私の愛するヨーグルト味は……そこにもう、いなかった──。
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