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さて、そろそろ行くか。
職員室の時計が8時になっているのを確認してから、懐中電灯を持ち廊下に出た。
廊下にのみ電気がついており、教室の電気は消えている。確認した廊下の電気は消して次の階へと向かう。
二階の廊下の真ん中に差し掛かったところで、生徒達がしていた噂を思い出してしまった。
あんな他愛もない噂なのに、なぜか背筋に寒気が走る。
「はぁ…バカバカしい…。」
溜息をつきながら教室を回っていると、自分のクラスだけ電気が付いていた。
「誰かいるのか?」
消し忘れただけなのはわかっているのにどこか、不安があるせいでつい、声をかけながら教室の扉を開けてしまった。
あたりを見渡しても何もなく、電気のスイッチに手を掛けた時だった。
…ガ……ガ…ズ………
……ズ…ズ……
振り返らなくてもわかる、聞き慣れた音。
椅子を引く音。
振り向く事が出来なかった。
「ねぇ……せ、ん……せぃ……。」
震えるような声。
「せ…んせ……ぃ……。」
教室の扉に手を掛けながら、ゆっくりと振り返るとそこに居たのは、ボロボロの制服を着た女子生徒だった。
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