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闇とマント
闇に紛れて消えてしまいたい
夜色のマントを翻して
どこかに姿を隠してしまったあの人のように
あたしを残して行ってしまった
何度呼んでも立ち止まってはくれなかった
振り返りもしなければ
手を振ってもくれない
行って欲しくなくて
全力で追いかけた
あたしがあの人の肩に手を触れた瞬間
光の無くなった空を足早に流れる雲も
強風に激しく揺れる木々も
何もかもそのままなのに
あたしの時間だけが止められて
あの人はマントを翻して行ってしまった
あたしの見えないどこかに
あたしじゃ行けないどこかに
あたしも闇に紛れてあの人の元へ行けないかと
闇夜に出会うたびに祈ってしまう
出来ないことがわかっていても
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