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「ちなみに、きみのバイト先の店長とは既に話がついている」
て、店長ぉぉおおお!!
守銭奴だとは思っていたが、まさか金か?金で俺を売りやがったのか?!
ていうか、家に毎日人が入るのか?…見られる!確実に見られる!俺の本棚!!
いや、多分既に見られている…。
「一応言っておきますけど…」
「何だい直樹?ああ、僕のことは修二、或いはダーリンか旦那様とでも呼んでくれ。ご主人様も悪くないな」
だから何で俺の名前…ってもう突っ込むのも無駄か。友人帳に載ってたのかな。いやまさかな。俺は半ば投げ槍になりながらも、言葉の続きを紡いだ。
「…修二さん。俺の恋愛対象は女の子ですから」
それも巨乳の。出来れば清楚系の。
明らかに夢見る童貞の趣味とか言わないで欲しい。俺は腐男子とはいえ、ゲイではないのだ。今まで一回だけだが彼女が居たことだってある。
家やら名前やらバイト先やら、俺のことを色々と調べて上げている様子のこの人ならばそんなことも重々承知の筈だ。
俺の読みが当たったのか、"とんでもない美形"野郎はやはり微塵も動揺した様子は見せない。というか、表情が見えないのでやはり何を考えているのかさっぱりなんだけど。
「そうか。しかしまぁ、物は試しだよハニー」
「誰がハニーだ」
思わず声に出して突っ込んでしまった。
こうして、俺とぶん殴りたいほどの美形との奇妙な生活が幕を開けた。
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