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[何これ、機体識別コード……XAM-85? こんなコードの機体知らないよ……]
ココがぼやくように呟く。
「ココ、回線開きっぱなしだよ」
[あぁ……ごめん]
隆義に突っ込まれてココは無線の送信スイッチの固定を解除しようとする。
ヘッドセットのマイクに触れ──
ドゴォォン!
遠くから爆発音が響き、ココは機体正面を音の方角へと向ける!
[爆発!?]
一度や二度では終わらない。
爆発は、七度、八度と続けて響いてきた。
「自衛隊が出て来た?」
[それならボクたちにも連絡が来るはずだよ。……まさか、さっき識別した機体がやったの?]
ココは改めて、レーダー画面に目を向ける。
そこには確かに、XAM-85と表示された光点が西区の川沿いを縦横無尽に動き回っている様子が確認できるが、具体的に何をしているのかは解らない。
しかし、それが通り過ぎた後には、大きな爆発音が響いている。
「一体何が起きてるんだ?」
[ここまで派手に暴れてるなら、お爺ちゃんも気付くはずだよ]
流石に、ココにも様子は把握しきれないか。
そう思った隆義は、背後に視線を送る。
「うちのでばん?」
「きゅーちゃん、頼むよ」
「わかった。──やってみるけぇ」
きゅーちゃんが意識を集中し、手を隆義の頭に触れる。
たちまち、滅茶苦茶な機動で西区を飛び回る「それ」の思考が流れ込んできた。
(遅い──)
武装車両を横薙ぎに切断。続けざまに飛び出て来た豪攻車を巨大な腕が掴み上げ、上へと放り投げる。
次の瞬間、再び巨大な刃が抜き放たれ──豪攻車の胴が斜め下から真っ二つに斬り飛ばされた直後、間髪入れずに横一閃──
「……!」
その様子が伝わった瞬間、隆義は嫌な予感に襲われた。
「今の……ツバメ返し……」
「?……たかよし、どしたん?」
(長信様、守衛隊は可部線三滝駅を通過。歩兵隊もトラックに搭乗し、続いております)
(いいぞ。そのまま川を渡り、山陽本線横川駅から線路伝いに東西へ展開。南からの敵の流入を阻止しろ。俺はこのまま敵を混乱させる)
「……間違い無い」
額から脂汗が流れるのを感じ、隆義はごくりと唾を呑み込んだ。
「……父さん、だ。俺の」
「たかよしの、おとうちゃん……?」
次の瞬間──
(!)
「!?」
白い鎧武者は、遠く東の方角……まるで隆義のシ式が見えているかのように、顔を向ける。
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