18. 死者の慟哭

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(何をコソコソとしている──) 「……見えてる……のか」  睨み付けてくる視線を、隆義は遠くから感じ取った。 (日向の元で腑抜けたか。──使えん奴め) 「……!」  吐き捨てるかのように届いた声。 「……たかよしのおとうちゃんにも、うちとおなじように、ゆうれいがそばにおる……」 「──そうか。──それで、こっちに気付いたんだ」  睨みに少し同様したのか、隆義の手は震えた。  が── [聞こえる? 爆発とか気になるだろうけど、急ごう] 「……了解」 [半ホバー、コンバットペース。銃上げ前進──!]  ココの声で、震えを押さえつけて冷静に戻る。  遺体の場所まで、あと少し──  ココ、隆義共に、機体のホバーのスロットルを半分のまた半分、四分の一の出力に。  これで少し歩く速度が増し、駆け足ができるようになるのだ。  急ぎ足の為、構えている銃を上に上げ、脚を動かす操作を優先する。 「こっちの行動は、父さん──あっちの方に筒抜けになる、って事か──」  だが、隆義は父が自分と同じ力を使える事に、一種の気味の悪い感覚を覚えた。  その気になれば、父・長信はこちらの行動を「潰す」事など簡単にできるのだから。 「すくなくとも、そうなるようね。じゃけど、ぎゃくもできるけぇ」 「……俺の方も、あっち側の行動を読める?」 「うちがおるじゃろ」 「……オッケー。きゅーちゃん、あっち側が何してるか読み続けて」 「まかせんさい」  不安感に耐えつつ、隆義はきゅーちゃんに頼んだ。 [マツダの敷地はここまでみたい。大洲に出るよ] 「あぁ。目的地はもうすぐ──!」  目の前の路面に見える「止まれ」の文字と、社員寮の敷地を閉じる鋼のゲート。  ココと隆義が駆るブルーチームの二機は、それを大きくジャンプして飛び越えた。  一方、レッドチーム──。 [ドクターエイブルよりドリルサージェントへ。異常発生、西区でドンパチやってる連中がいるぞ──] 「あぁ、花火のような爆発音が聞こえた」  教官は、ドクターこと義辰から送られてきた映像に一瞬目をやり、目の前の状況に再び集中する。  彼は今、敵の目と耳の隙を突いて、川から柞木(ほうそぎ)に上陸した所なのだ。 「このまま仁保南に抜け、黄金山山頂を目指す。着いたら連絡する」 [あぁ。それと、レーダーが妙な識別信号をキャッチした。XAM-85、轟震の構造試験機だぜ]
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