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国道二号線をそのまま西へ進み、チームはマツダ本社工場を右手に臨むウェイポイント2へ。
目の前には、事変が起きた日に隆義が身を隠した黄金山がそびえ立ち、そして路上には破壊された車が、あちらこちらに転がっているのが見えている。
先頭を行く教官のジャグリオンが、後続に見えるように機体の左手を水平に向け、下へ振る動作を見せると、義辰のシ式六番機改、心のジャグリオンは減速。
隆義のシ式七番機改もそれに伴い、全機がトラックの残骸の影に隠れ、停止した。
[ジジイ、どうだ?]
[今、カメラをサーマルモードにした]
偵察装備は、ドクターエイブル──義辰のシ式六番機改が一番充実している。
トラックの影からゆっくりと動き、機体のカメラを道の先へ向けると──
[現在位置の三百から四百メートル前方に路線バスを使ったバリケード……と言うより、監視トーチカみたいだな。上部と内部に敵兵多数]
──敵兵の姿が、赤い人型の映像としてモニターに浮かび上がった。
[暗視映像モードで撮影もしておく]
その様子を前に、ココ機が隆義のシ式改を、静かに軽くノックする。
[ボクたちもお仕事だよ]
「あぁ……解った」
ココ機が、来た道を一旦下がるように動き出し、隆義も続く。
[少し……五十メートル戻った所に、下の住宅街に抜ける道があった]
「了解」
場所はすぐそこだ。
静かに来た道を戻ったブルーチームの二機は、公園に続く階段と、その左から住宅街へ下る道へと到達する。
[ジジイ、ブルーチームは別行動に入った]
[ドクターエイブル、了解したぜ──]
義辰は、インカムのマイクを指で擦り始めた。
・・-・・(ト)
----(コ)
・-・-(ロ)
・-・-- ・・(デ)
ー・ ・・(ダ)
[回線を切り替える]
二人はこっそりと、通信チャンネルを短距離の別回線へ──。
[話しにくい内容のようだな──]
[あぁ。ココとリトルボーイには刺激が強すぎるんでな。あのバスの様子の詳細だ]
場所がまだ遠く、ブルーチームの二人には見えなかったが──
義辰の機体は、長距離ズームでそれに気が付いたのだ。
[裸にされた連中が、盾代わりに磔にされてやがる]
[それは……確かに言いにくいな]
納得した教官は義辰の機体に対し、次の移動方向をハンドサインと指で指し示す。
レッドチームもまた、自らの行動を開始した。
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