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「言葉」
それは、突然の出来事だった。
いつも通りの、怠いけど楽しい毎日のほんのワンシーンだったと思う。
でも、それは浮きすぎていた。
「……東田さん…本当にいじめて、ごめん‥‥なさい‥‥ッ」
「‥‥‥なに、急に」
私を蹴ったり踏んだり傷つけてきた奴らのリーダーが、急に謝ってきた。
涙がボロボロと頬を伝っていて、凄い変わりようだ。
でも、許す気にはなれなかった。
「‥‥許せると、思って‥‥‥るの?」
恐かったけど、勇気を少し出してみた。胸が痛いほどドキドキ鳴って、苦しくて逃げ出したかったけど、踏ん張って。
声が震えているのは、恐いからだ。
「………ごめん‥ごめ、ごめんなさ‥‥、ゆ……許、して…下さ………いぃッ」
小刻みに震えていて、そんなに泣くほど反省してるのかって、許してあげても良いかなって、そう、思ったのにね。
私、気付いちゃった。
──こいつ、笑ってる。
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