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舞は強くて優しい子だから、皆から頼りにされていた。困った時の舞頼み、みたいな感じに。
それでも、舞は私以外から頼まれても、軽くあしらってしまうだけだった。
あしらいが上手かったから、やっぱり困ったことがあると毎回舞は頼られてるけど。
「璃子ちゃん、良かったね」
「え、なにが」
ある日突然、舞が私にそう言ってきた。
完璧で、可愛らしい笑顔で、そう言ってきた。
「ふふふっ……もうじき、わかるよ」
鈴の音の様に軽やかで妖しげな声が、私の胸の中へビー玉みたいに滑り落ちていくみたい。
カランコロン。
カランコロン。
何故か焦燥感に煽られて、何故だか私をいじめた奴らが心配になった。
なんでだかは、解らないけれど。
ただ一思いに、そう、思った。
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