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なんで笑ってるんだろう、こいつ。
「──思ってない癖に」
「………ッえ?」
わざとらしい泣き声をやめて、ぼーっと私の顔を覗いてくるこいつ。
「へぇ…そっかぁ…バレちゃったのかぁ……
つまんないなぁ」
そう言うと、こいつはふふっと薄ら笑いを上げた。これは、私をいじめる時の目だ。
見間違える筈が無い。
胸にくっきりと残って、刺みたいに私を傷付ける目。
「それじゃあ、無駄なことはしない方が良いよねぇ…」
なんて言ってから、ブツブツ独り言を呟き始めた、こいつ。
気味が悪かった。
「面倒臭いしぃ、はっきり言っちゃうねぇ」
ニッコリとけれど目は一切笑っていない笑顔で、こいつは。
「あいつ─‥‥一ノ瀬舞を、ハブるの手伝ってよ」
冷や汗が、背中を伝った。
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