2942人が本棚に入れています
本棚に追加
脇役
思えば子供のころから、いつも不満を抱いていたように思う。
要領が良くて、華がある妹。
彼女を見た大人は、たいてい笑顔になる。
『まあ、なんて愛らしいお嬢ちゃん』
直後に、後ろに張り付いている私を見つけて目を泳がせる。
『……控えめな……そうね、奥ゆかしいお嬢ちゃん』
〝控えめ、奥ゆかしい〟
それらが誉め言葉なのかどうかは知らなかった。
けれども私の存在が、目の前の大人を困惑させていることくらいは分かった。
最初のコメントを投稿しよう!