脇役

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それは思春期に入ってもかわらず。 ものおじする性格の私は、クラスでも大人しいグループに属して、教室の隅でひっそりしていた。 まれに男子が話しかけてくることがあったけれど、みんな同じ。 『ねえ、妹の咲子ちゃん。紹介してくんないかな?』 私はせめてもの抵抗で『妹には恋人がいるから』と嘘をつく。 自分の立ち位置を良く分かっていながら、それを不満に思っていたのだ。 けれどもそれを変える勇気もない。 典型的な甘ったれ。 教室でも家庭でも、どこに居ても影の薄い脇役。その他大勢だった。
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