空白をなぞるように

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空白をなぞるように

社会人となった僕は上京し、彼女はそのまま県外で就職していた。 仕事に追われ年末の幸せを享受する時間もあまり取れなくなっていたが、いつかまた会えるという期待を胸に抱え、自分を奮い立たせていた。 そしてその日は急にやってきた。 彼女と会えたなんてそんな最高の日ではない。最悪の日だった。 彼女と交際していた彼に、僕と彼女が度々連絡を取り合っていたことが知れたらしい。 と言っても、SNSアプリにて普通の会話をしていただけであったが、どうやら彼には僕が以前彼女と交際していた相手である点がどうにも気に食わなかったらしい。 結果、今後そうそう会うことはできないし、連絡を取ることもできないと彼女から宣告された。 中学生時代に別れを告げられた時のように、頭の中が真っ白になり共通の友達へと耐え切れなくなった心境を吐露した。 心にぽっかりと穴が空いてしまったようで。 何をしても楽しさなんて感じない、集中力だって続かない。 寝る際は必ず彼女を思い出して胸を痛めつける。 涙をこらえ、目を閉じ、いつのまにか眠りにつく。 そうした毎日を過ごした。 いっそのこと出会わなければよかったと思う。 しかし結局は一周りして、出会えて良かった、2番目でいいから一緒にいたいなんて同じところをぐるぐるとループするだけなのだった。 彼女を奪ってやりたいとも思わずにはいられない。 しかし僕は彼女を幸せにできる自信がなかったのだ。理由はともあれ過去2回も別れを経験しているのだから。 彼との今の幸せを奪えない、彼女には幸せになってほしいといジレンマ。 結局僕はどうしたいのだろう。 彼女を愛しているという気持ちに偽りはないのにと、周る。
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