プロローグ

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プロローグ

七月のとある休前日。閑静な住宅街に建つ、どこにでもあるアパートの一室で二人の男がくつろいでいた。 築年数はさほど経っていないアパートは、内装や設備がまだ新しくて清潔感がある。男の一人暮らしだが、息子が頻繁に泊まりにくるのでワンルームではなく、2LDKの間取りにした。寝室は割とゆったり目なので、かろうじてセミダブルサイズのベッドが置けている。バツイチ独身の男の部屋としてはマシな方ではないだろうか。 それでもこの人にはとても似合わないけれど――と井上稜(いのうえりょう)は胡坐の姿勢でテレビのゲーム画面を見つめたまま、背中の心地よい重さとぬくもりに思いを馳せた。 「やったぁ、スープカレーのお店が本部の近くにできたって」 井上の背中にもたれかかって携帯電話をいじっていた恋人が嬉しそうに声を上げる。井上はコントローラーを忙しなく操作しながら、スープカレー? と背中合わせに座る恋人に訊き返した。 「本部庁舎のすぐそばだよ。第二庁舎の隣の……ロー〇ンが入ったビルの三階だって。稜はスープカレー食べたことある?」     
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