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香の口の中を指で犯しながら、腰はゆっくり揺すっている。香は物足りないのだろう、訴えるように口の中の井上の指を舐め、自ら腰を振っている。井上は香の耳元で低く囁いた。
「……香、自分で動いて。俺のこともっと気持ち良くして」
少し意地悪くそう言うと、香はすぐに自ら激しく腰を使い出した。
香は手練れだ。油断すると淫らな腰使いで井上の方が本当に先に達せられてしまいそうになる。
井上は眉間に皺を刻んで堪え、左手で香の尖った乳首を摘まみ、右手で腰の動きに合わせて揺れる屹立を握った。
「やぁっ! それ……だめっ!」
同時多発的な責めに、香がイヤイヤと首を振る。それは嘘だとわかっているから、井上は香が好きな耳への愛撫も付け加え、香をさらに乱れさせた。
「あっん、ひっ、いい、あぁん……イイっ」
香を自分に溺れさせたい。井上はいつも必死だ。
香を快感に酔わせ、心も体も全部、自分のものにしたい。
「稜、いい、アッ、すご……」
こうして抱いていても、いつも信じられない。こんなきれいな人が、自分の腕の中で乱れていることが。
美しさも賢さも、地位も財力も、そして優しさまでも持ち合わせたこの人が、こんな庶民的な部屋で、安物の部屋着に身を包んで――一介の刑事を愛した事実を、井上は心のどこかで信じられないでいる。
「りょ、う……」
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